ニューフォーク編 その3「砂漠のお尋ね者」

ニューフォーク周辺:北の砂漠



レイ「・・・・」

キリヤ「・・・・」

レイ「・・・・暇だな」

キリヤ「ああ・・・本当にこの辺りにお尋ね者ニュービートラいるのか?」

レイ「ハンターオフィスの話しではな。しかも、凶暴な機械らしく向こうから襲ってくるらしいぞ?」

キリヤ「かー、それなのにこうして目立つ位置に二台も車両待機させてるわりには来ないな」

レイ「だな、もしかしたら取られたか?」

キリヤ「だとしたら、俺らは飛んだ笑いものだぜw」


まぁ、見ての通り砂漠のど真ん中で、ニュービートラ来るのを延々と待ち続けてるわけだが。

噂通りなら、真っ先に襲われると思っていたが、思っていた以上に来ない。

おかしいなぁ、なんたってこんなに来ないんだ。


レイ「暇だし、見張りでもしながら会話でもするか」


カチっとBSコントローラーのスイッチを入れる。

軽いポップな音楽が適当に流れ始めてきた。


キリヤ「なぁ、お前はキョウジさんに憧れてハンターになったんだよな?」

レイ「ああ、その事ならお前の耳にタコが出来るぐらい話さなかったっけ?」

キリヤ「そうだな、しかし実際なってみてどうよ?」

レイ「まぁ、想像以上に厳しいよ。さっさと実家に逃げ帰ってメカニック引き継いだ方が楽かもな」

キリヤ「ほー?お前みたいなヤツが弱音吐くなんて、珍しいな」

レイ「それだけ、本気に考えてハンターやってるってことさ」

キリヤ「らしくねーなーwまぁ、楽しんでるなら別に問題無いだろ」

レイ「それに、俺はこいつら(車両)で戦うのが、生きてる実感が沸くしな」

キリヤ「はっはっはwなんだよ、それw」

レイ「よくわからないけど、親父の血が流れてるせいだろw」

キリヤ「たく、ほんとお前変わったよなぁw 夢を見る少年から、夢で食っている青年、か」

レイ「それこそなんだよ・・・ん?Cユニットが揺れを探知した」

キリヤ「計算して方角出す・・・どうやら北西からだな」

レイ「視界で確認・・・サイドディスプレイ・・・ええい、ちゃんと写れ!」


ガンガン!


レイ「よーし、写った・・・いたぞ、黄色い車両・・・一見クルマのようだな」

キリヤ「おいおい、スピーカーから荒い音が聞こえたが壊すなよ・・・直すのは俺なんだからよ・・・w」

レイ「んー、なんだか動きが止まっているぞ」

キリヤ「どういうつもりだ?疲れてんのかな?」

レイ「おいおい、機械にそんな感情なんて無いだろw 大体、アレがどういう原理で攻撃してくるのかさえ謎だ」

キリヤ「んー・・・まぁそうだけどよ」


その時、俺とキリヤのCユニットがロックオンされた警戒音が激しく鳴った!


レイ・キリヤ「「しまった!」」


ニュービートラから、ミサイルが飛んできた!


慌てて回避行動をとる!


きゅきゅきゅ、ギュイイイイイイン!

ドギャンバゴン!


キリヤ「くっそ、無茶しやがるぜ!」

レイ「状況報告、お互い無事のようだな・・・来るぞ!」



お尋ね者「ニュービートラ」
賞金1500G
データ:砂漠の廃ビル地帯周辺の砂漠に出没する車両型賞金首。



いつものごとく、BSコントローラーからヘヴィメタルのBGMをかける。

目の前に現れたニュービートラは、ほんと人が乗れる車両っぽい。

だが、自己改造によるものなのか、それとも大破壊前に兵器に作り変えられたのかはわからないが、人が乗れる場所が無くなり代わりに巨大なマフラーがついている。


レイ「相手はほとんどクルマだ、動きが細かいから攻撃が当たらないぞ!」


主砲を連射するが、ことごとくかわされる。

この間の人狩り大隊長と言い、ここ最近は自分の運転技術に悩まされることが多いな・・・


キリヤ「レイ、挟み撃ちにするぞ!」


そう言いながらバギーで後ろに回りこむキリヤ。

こいつ、ほんと土壇場の思いつきに関しては回転速いな


レイ「よっしゃ、任せろ!」


俺も前に回りこみ挟み撃ちの形にする!


キリヤ「よし、撃てええええ!」

レイ「いやちょっと待て!」


バギーから発射した主砲をことごとくかわされる。

そして、その弾がこっちに飛んでくる・・・


レイ「ったく、お前は何考えてんだ!w」

キリヤ「んなもん、撃ってお互いに交し合えばいいじゃねえか!w」

レイ「そんなのやってたら、気が散って敵の攻撃食らい放題ってかミサイル来るぞ!」


当然、向こうも隙あらばガンガン攻撃してくるわけで、こんな言い争いをしてる場合じゃない。


しかし、あまり危なげなくかわす、バギーとデマーグ。


レイ「回避OKだ、もう一度挟み撃ちにするぞ!いいか、足を狙え、車両の!」

キリヤ「ああ、そうか!それなら問題無いな!」


最初に気付いてるもんだと思っていたが、主砲の角度が明らかに水平だったから慌てて回避行動したんだって・・・w

再び回りこみ、お互いに足を狙う!

撃つ、その瞬間ニュービートラから目もくらむライトを照らされた。


レイ「うお!?何もみえねえ!」

キリヤ「こっちもだ!バックライトを強烈な電球か何かに改造されてやがる!」


くそ、Cユニットがロックオンの警戒音を出すが敵の方向がまったくわからない!


ズガアアアン!

バッキャアアアアン!

ミサイルが完全にヒットしたみたいだ、Cユニットによる破損状況によると副砲が大破、装甲も半分以上削られている。

ワーニング、ワーニングの警戒音がやかましく鳴り響く。


キリヤ「くっそ、即席修理をしたくても、まだディスプレイの視界が直ってねえから外にも出ることができねえ!」


どうやら、今までで一番厄介な敵にあたったようだ。

そもそも、ミサイルを車両のどっから撃ってるんだ?


レイ「仕方ない、ソナーセンサーに切り替えて、それだけで判断する!」

キリヤ「お、おいおい、それじゃ向きとかまでわからないから危険だぞ!ここは一旦退くほうがいいだろ!」

レイ「ふ・・・任せろ!」

キリヤ「その自信はどっから、ってまたミサイル来るぞ!」

レイ「アニキ、左に回避しろ!」

キリヤ「くっそー、お前後で酒奢ってもらうからな!」


バギーを高速で左に動かす!


スッギャアアオン!


キリヤ「げ、マジにかわせた!」

レイ「アニキ!来てるぞ!」

キリヤ「うわああああああああ!?」


バギーがニュービートラのタックルを受け、押しつぶされそうになっている!


レイ「アニキ!? なろ、離れろ!」


主砲を横から連射する!

さすがに油断していたのか、押しつぶそうとしていたニュービートラは、横から主砲連射をまともに食らいすっ飛ぶ!


ズギャアアン!


キリヤ「ぐ・・・ってぇー、血が出てる・・・テメエ、高い釣りがきそうだな!」

レイ「アニキ、大丈夫か・・・って、おい!?w」


キリヤがマジギレしたのか、バギーで横から突っ込みひっくり返ったニュービートラをそのまま押し捲る。


キリヤ「うおらああああああああ!倍にして返すぜ!」


ゼロ距離で主砲を連発する、キリヤ。

ニュービートラの機体がもはやボロボロでエンジン音が苦しみをあげている。

そして、エンジン音も止まり、完全に沈黙した。


キリヤ「はぁ・・・はぁ・・・俺がこんなところでくたばるわけにはいかねえんだよ」

レイ「アニキ、アニキ!」


バギーのドアをどんどん叩いて中の様子を確認しようとする。


がちゃ、ぷしゅー


キリヤ「まったく、頭をどっかぶつけたみたいだ。」

レイ「マジで心配したって・・・もう、大丈夫?」

キリヤ「天才がこんなとこでくたばるわけには・・・」


そこまで言うとキリヤはぐったりとした。

レイ「アニキ・・・ふぅ、一気に緊張感がとけたせいか、疲れたんだな」

キリヤを背負って、俺のデマーグに乗せる。

バギーは牽力すればいいか。

バギーにワイヤーロックをして、最後にBSコントローラーでニュービートラの写真を撮る。


レイ「生活のためだ、許せ。」


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