ジャンクヤード編その1「旅立ちの朝」

自宅の二階にある茶の間


ニーナ「ハンターになりたい、ですって?」


朝ごはんを食べ終わると母親に、自分が憧れ続けていた道を歩むことの決心がついたことを話す。


ニーナ「(またこんなこと言い出して、この子は・・・・・・)」


ふぅ、と母は溜息をつきながらも会話を続ける。


ニーナ「私は反対よ。ハンターなんて、ロクな仕事じゃないんだから。」


台所の方からは妹のエミリが心配そうにこっちを見ている。


ニーナ「危険だし、稼ぎは安定しないし、世間でも良く思ってない人が多いし・・・・・・」

ニーナ「本当は、お父さんにだって早くやめてほしいんだから。」


俺の親父のキョウジは、凄腕のハンターとして業界では注目を集めている。

強いお尋ね者を倒し、自分で苦労した戦車をガンガン改造しまくったり、賞金をがっぽり稼いで
帰ってくる親父はいつも楽しそうだった。

そんな親父が歩んだハンターの道、俺もその道を辿るんだと小さい頃からずっと思っていた。

いや、思っていたと言うよりも、自分にはハンター以外はありえないと信じていたぐらいだ。


エミリ「・・・・・・。」


そんな母の発言に少し驚きを見せるエミリ。

実際、親父は連絡もロクにしないで世界のどこかを旅しているわけで、確かに母さんが心配を
ずっとするのも無理はない。

母さんもメカニックの腕としては超一流で、いろんなハンターから毎日毎日戦車の修理
依頼を受け、仕事をしている。

そのため、親父がハンターを廃業したとしても、お金には不自由はしないだろう。


ニーナ「だから、レイにはハンターになってほしくないの。」


心配そうな表情を見せる母さん。

普段からこんな会話をするわけではないから、きっと今は切望しているのだろう・・・か。


レイ「母さんには申し訳ないと俺も思ってるよ。それに母さんのその考えも子供の頃から知って
   いたし・・・・・・」

ニーナ「私の考えをわかってくれているのなら、今からでもメカニックの修行をして、家を継いで
     くれるとか・・・・・・。」

レイ「確かに母さんが修理している時に横で手伝いや作業を見ていたから、普通の同い年の人より
    はメカニックとしての知識はあると思うけど・・・・・・。」

ニーナ「そうよ、私の息子なんだから、才能が0でも無いのよ?」

レイ「うん・・・・・・。」

ニーナ「どう? ハンター以外の人生だってあるんだから。」


だが、俺は迷わずそれに答えた。


レイ「母さん、ごめん。俺、どうしてもハンターになりたいんだ!」


母さんの顔が曇ると思っていたら、まったく逆だった。

少し口元が笑うと、話しを続けた。


ニーナ「そう言うと思った。わかったわ、じゃあ好きになさい。」
ニーナ(まったく、誰に似たんだか・・・・・・)

レイ「え、じゃあ俺たった今からハンターとして生きていくよ?」

ニーナ「ええ、だから好きになさい。」

レイ「ひゃっほおおおおい!よっしゃ、今日からいっぱいモンスターを倒して金稼ぐぞぉぉ!」


はしゃぐ俺にきつい顔をして一言言う母さん。


ニーナ「あのね・・・・・・あんまり甘く見てると痛い目にあうわよ?」

レイ「大丈夫大丈夫、なんとかなるってw」

ニーナ「大体、ハンターになるんだったら車両(クルマ、もしくは戦車)の一台も見つけて
     おきなさい?」

ニーナ「車両のないハンターなんて、野垂れ死にがいいところよ?」

レイ「むむ・・・確かに母さんの言う通りだな・・・まずは車両を見つけないと俺のハンター道は
    始まらないかも」

ニーナ「まぁ、とりあえずハンターオフィスにでも行ってきなさい。」

レイ「ああ、毎日通ってるからわかってるよ。今週のターゲットは、ビームハチドリってことも
    知ってるぐらいだよ」

ニーナ(ビームハチドリはこの地方にはいないんだけど・・・・・・)

ニーナ「そこまで言うなら旅立つ用意ぐらい出来てるのでしょうね?」


さすが母さん、実は特に何も用意していないことぐらい見抜いている。


ニーナ「まったく、その顔は用意何もしてないわね・・・装備くらい買って行きなさいね?」

レイ「わかってるってば、ちゃんと装備も旅の道具も用意して行くよw」


あーもう、なんで息子と母親の会話ってこう息子をイチイチ苛立たせるかなぁ・・・・・・

と、その気配を察したのか、エミリが話し掛けてきた。


エミリ「わぁー、お兄ちゃんついにハンターになって旅立つんだねー♪」

レイ「ああ、うん、ずっと言ってたからなw」

エミリ「わたし、応援してるからねー!頑張ってねー♪」

レイ「はっはっは、じゃあ俺がお金を稼いだらエミリに何か買ってあげようじゃないかw」

エミリ「えー、本当にー?じゃあ、期待して待ってるねー♪」

レイ「おう、俺に任せておけば万事オッケーよ!」


そんな俺と妹のやり取りを見ていた母さんも、少し楽しそうだった。

なんだかんだ言って母さん、俺がハンターになることを嫌がるどころか応援してくれてるのだろうか?


ニーナ「いいわね?あなたは自分の生きる道を選んだのだから、最後までやり通すのよ。」

レイ「うん、それが俺のハンター道だから、賞金首を全滅させるまで戦い続けるよ。」

ニーナ「うーん、私の言ってる事の意味がちょっと通じていないみたいだけど・・・w
     でも、もしハンターを続けることに疲れたら、いつでも帰ってらっしゃい。
     その日からみっちしとメカニックとして修行させるわ」


一気に母さんにまとめられ、俺は素直にうんとしか頷くことが出来なかった。




ジャンクヤード:自宅前




レイ「さーて、まずは隣のジャックさんの酒場にでも行くか。」


自分の家の隣には、ジャックさんが開く酒場がある。

何でも、昔に親父と母さんとジャックさんの組み合わせが最強のハンタートリオだったらしい。

最強の戦車使い、どんな大破も直せるメカニックウーマン、銃撃戦では無敗を誇るソルジャー。

何回もジャックさんから話しを聞かせてもらったけど、飽きないんだよなぁ・・・w

ハンターになるなら、俺のとこに寄って行けよ、とよく言われてたし、今から挨拶しに行こうっと。


???「ようキョウジ!良かった、出かけちまう前で!ていうか、お前ほんと家にいなさすぎ!w」


いきなり知らない中年のおっさんに声をかけられた。

はて、ジャンクヤードにはこんな人いなかったはずだけど・・・


???「って・・・お前、ちょっと縮んだか?」

レイ「・・・・・・いや、実はちょっと縮んだ」

???「マジか!?お前、何か変なものでも食ったんじゃねえの!?w」


やばい、やばいよこの人、俺の嘘にひっかかってるよw


???「と、まぁ引っかかったフリはここまでにしておいて」

レイ「いや、俺はキョウジにまちがいな「すまないすまない、父親の方と勘違いしてたみたい
    だw」」


うわ、あんた人の話し聞いてんだか聞いてないんだか、とりあえず俺の会話に横入りするなよ!w


マッキンリー「俺はマッキンリーってんだ。ハンターでもメカニックでもソルジャーでもねえ」

レイ「じゃあ、単なるおっさんじゃないですか。」

マッキンリー「お前、年の事は気にしてるんだから突っ込むなよ・・・・・・」


頭をポリポリと掻きながら、話しを続けるマッキンリーさん。


マッキンリー「まぁ、俺は冒険家ってやつなのよ。世界を一人で旅しているのさ」

レイ「へぇー、それで何か用でもあったんすか?」

マッキンリー「いや、近くを通りかかったから寄ってみただけだ。ま、相変わらずキョウジは
        元気みたいだな」

レイ「ええまぁ・・・あんまり連絡来ないですけどね」

マッキンリー「あいつは何かに夢中になりだすと連絡すら忘れるヤツだからな!」

レイ「そうっすねw」


どうやら、この人は本当に親父の知り合いみたいだ。


マッキンリー「そのなりだと、父親と同じでハンターになったみたいだな?」

レイ「はい、ついさっきハンターになりました」

マッキンリー「おー、キョウジジュニアよ、頑張れよ!じゃ、俺はしばらくはこの町にいる
        から、何かあった時は声かけてくれよ」


そういうと、さっさとどこかに走り出していった。
うーむ、親父の友達にあんな人いたんだなぁ・・・まぁ意外っちゃー意外かw


この後、酒場に行ってジャックさんと、その娘のレイチェルと挨拶を交わし、街の人達とも挨拶を
かわしている内に面白い話しが聞けた。

この街の裏にはあらゆるジャンク、と言うよりはゴミがなぜか捨てられていて、山になっている。

ていうか、あんな量のゴミはどうやったら溜まるのか、小さい頃からの謎の一つでもあった。

で、その山の中にまだ動かすことの出来る車両を見かけたと言う人がいたのである。

その人の話しによると、結構奥のほうにあるみたいだ。

早速、俺はその車両を手に入れるためにジャンク山に行く事にした。

そして、これがこの先長く続く戦いの日々の始まりでもあった・・・

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